京都・東寺の立体曼荼羅(まんだら)来る

 来週26日から上野の東京国立博物館で、特別展「国宝東寺―空海と仏像曼荼羅」が始まる。

 東寺は、空海が唐から帰って嵯峨天皇から賜り、東寺の伽藍を仕切ったと思われる。講堂の立体曼荼羅は、大日如来を中心として21体により構成されている。そのうち16体が上野に展示される。

東寺の21体は、如来が5体(5智如来)と5菩薩・5明王・4天王に帝釈天梵天であり、空海真言密教の神髄である。

 展示されるのは、5智如来を除く16体と思われる。平安時代の当初像で、ヒノキの一木造りである。表面に乾漆造の技法が使われており、奈良時代の仏像技術が引き継がれている。

 見どころの一つは、何といっても帝釈天騎象像であろうか。白象の上に左脚を垂加して、半跏の姿勢で座っている。

平安時代に完成されたが、頭部はすべて後補となっているため、他と比較して顔は穏やかで美しく、仏像きってのイケメン像として女性に人気がある。

f:id:kumacare:20190323130825j:plain
f:id:kumacare:20190323130842j:plain
帝釈天騎象像

 

 もう一体、降三世明王(ごうざんぜみょうおう)も見どころである。

降三世とは、過去・現在・未来の3つの世界にはびこる欲望、怒り、愚痴という3つの煩悩を降伏することから、この名がある。

四面八臂(顔が4つ、手が8本)で、 眉間にも目があり3目となっている。

 また、左右の手で独特の降三世印(小指を絡めて腕を交差)を結んでいる。

わたしが注目するのは、足下にシヴァ神とその妃であるウマーを踏んづけていることである。

ヒンズー教最高神であるシヴァ神がこのようなところに登場しているのは驚きである。

 大日如来が説法をしていたとき、シヴァ神とウマーが仏教の教えに従わず、欲望に捕らわれていたため降三世明王が降臨して、倒したといわれているが、それにしても過激である。

f:id:kumacare:20190323131736j:plain
f:id:kumacare:20190323131753j:plain
降三世明王

 仏教はインドから始まりガンダーラシルクロード、中国、朝鮮半島を経て日本に伝わったが、ヒンズー教の日本への伝搬も興味深いところである。

 東寺の講堂では、広い堂いっぱいに21体展示されているが、数が多いため狭く、また薄暗く、正面しか見ることが出来ない。

 博物館の展示では、後ろ、横からも見られるように配置していると思われ、この点からも注目である。

 混雑が予想され、午前中は、特別展のときいつも混み、昼休みあたりが比較的空いていると思われる。

 わたしは、学割がきき、奈良と京都の国立博物館は無料であり、有り難い。