仏舎利(ブッシャリ)

仏舎利とは、釈迦の遺骨を指したものだが、少し前であるが、奈良県葛城市の当麻寺(たいまでら)西塔の心柱最上部から、三重の金、銀、金銅製の舎利容器が見つかった事が発表された。

 

写真にある最も内部の金の容器は高さ1.2cmで円形のふたがあり、中には舎利に見立てた直径2mmのガラス粒が入っていた。

その外の銀容器は高さ3.1cm、ほぼ純銀である。最も外の銅器の高さは9cmで、金メッキを施している。

国内で金・銀・銅の舎利容器がセットでみつかるのは珍しい。

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三重入れ子式の舎利容器

 わたしの卒論の指導教員でもある、奈良大学の関根副学長(仏教美術史)は、「ろくろを使った銅器の技術的特徴からも白鳳時代としか考えられない。保存状態も良く、仏教美術史上、大きな発見である」と話している。

 

尚、仏舎利つまり釈迦の遺骨の行方であるが、仏舎利の所有を巡って争いが起き、結局8つに分けられてインドとスリランカに埋葬された。

紀元前3世紀にインドを統一したアショカ王が、それを発掘して、遺骨は細かく粉砕し、微量ずつに小分けし、周辺国を含め8万余の寺院に再配布を実施したという。

 

仏教が後年に伝来する中国は、多くの僧がインドやタイに赴き、仏舎利の収められたストゥーパ(仏塔)の前で供養した宝石類を「仏舎利の代替品」として持ち帰った。

それを自寺の仏塔に納めた。

この宝石を仏舎利の代用として奉納する手法は、古くから日本でも行われてきたといい、今回見つかった金の舎利容器に入っていたガラス粒が仏舎利の代替品」の宝石ではないかと考える。

日本の寺院にもたくさんの仏舎利容器があると思うが、中に何が入っているか、興味深い。