9、10月の3回の博物館学内実習を終えましたが、前後に初秋の良い季節なので寺院巡りを致しました。この寺院巡りの報告も、わたしの備忘録として記憶に残るうちに順次書き留めたいと思います。
記憶の最も新しい実習最後の日の翌日、東京に帰る前の朝一番、興福寺の北円堂の特別開扉(かいひ)を見て参りました。
朝一番と云っても9時からしか開きませんので、奈良公園の散歩です。シカさんは既に現れています。
先生の下に小学生が大勢集まっていますが、遠足でしょうか、シカものんびりです。
小ジカとは珍しいですが本当に可愛いです。まだ白い斑点がくっきり出ています。
そして興福寺の敷地に入ります。南円堂の特別開扉は1日だけで既に終わっています。北円堂は2週間ほどあるようです。
この北円堂は、日本に現存する八角円堂のうち、最も美しいと云われています。興福寺の創建者藤原不比等の1周忌にあたる養老5年(721)に追善供養のため元明太上天皇、元正天皇(母娘)が、長屋王に命じて建てさせたものです。
南円堂の西側の道を行くとありますが、興福寺の伽藍の中でも最も小さいお堂で、運慶作の無著(むじゃく)、世親(せしん)の菩薩立像が安置されていることで有名です。
数人待っていましたが、直ぐに入れます。中は狭いのですが、堂の中いっぱいに仏像があります。
中央に、北円堂の本尊の弥勒如来坐像、脇侍に法苑林菩薩像、大妙相菩薩像です。そのやや後ろに無著、世親菩薩立像がおり、全体の廻りに持国天、多聞天、増長天、広目天の四天王立像が護っております。
弥勒如来を初めて見ましたが、弥勒菩薩が56億7千万年後に成仏した姿のようです。中宮寺、広隆寺の半跏思惟像は、弥勒菩薩です。
そして無著、世親菩薩立像です。無著、世親は北インドの兄弟の僧侶で、二体一組で対照的な表情です。
兄の無著は、優しく人々を見守る姿、弟の世親は、遠くを見つめる意思の強い姿で表しており、運慶が理想的な仏教の求道者の姿として表現しております。
いずれも運慶の代表作でありますが、慶派仏師の一門が巨匠運慶の統率のもと制作したと思われます。
ついでに、北円堂から見た中金堂、五重塔と南円堂を掲げておきます。
最後に御朱印です。
おわり