昨日、緊急事態が宣言され、日本列島は、年初から多難な船出となりました。現在は関東地区ですが、関西、愛知と全国的に拡大傾向です。
東京は、感染者2千人越えという一気に驚くべき数字でした。この数字は、区内だけでなく都下の市町村に広がっていく傾向が、顕著であると感じられます。
さて、今年は丑(牛)年ですが、神社、寺院などに牛像を見かけられます。
太宰府天満宮や京都の北野天満宮など全国に天満宮がありますが、牛は学業の神様の菅原道真公のお使いの動物として信仰されているようです。牛の像のことを「御神牛」(ごしんぎゅう)と呼んでいます。
また、天満宮には「撫牛の信仰」があるようです。撫牛とは、自分の身体の具合の悪い部分をなでて、その牛の同じ箇所をなでると、病気が治るという風習のようです。
わたしの近くの神社の谷保神社、布田神社にも牛像があるようなので、まだ、今年は密を避け参拝していないので、機会を見て行こうと思っています。
それでは寺院についてはどうでしょう。
京都の法輪寺に狛牛がおります。本尊の虚空蔵菩薩は知恵の仏様であるとともに、丑年と寅年の守護本尊で知られています。境内に牛の石像(狛牛)が安置されています。
阿吽(あうん)の狛犬の代わりに「狛虎」と「狛牛」です。ちなみに虎が阿、牛が吽の役割を担っています。
京都の東寺の立体曼荼羅の仏像で、5大明王が安置されており、その中の一員で、「大威徳(だいいとく)明王」がおります。牛に乗った六面六臂六脚の明王です。
いずれも仏さまに仕える身であり、一途なまでに厳しく耐える姿が健気です。何とも真面目に仕える、それが少しおかしくユーモラスでもあります。
この象徴的な牛像が、2,3年前、奈良国立博物館で特別展「いのりの世界のどうぶつえん」で見た牛像でした。この牛像はどこの寺院にあるとかの詳細は分かりません。
醍醐寺、大威徳明王の、牛だけの姿をもう1度見てみます。耐える姿も真剣でどこかおかしく可愛いです。
また昨年、新薬師寺に行きましたが、ここにも脇役の小さな牛像がおりました。本尊の薬師如来坐像と十二神将の伐折羅(ざばら)大将の間にちょこなんと座っている本当に小さく目立たなく不思議な牛像でした。
神と云えば、やはりヒンズー教の神聖な牛です。ヒンズー社会において牛は崇拝の対象となっています。神話にもたびたび牛が登場し、たとえばシヴァ神の乗り物はナンディンという牡牛です。南インドのチェンナイの寺院にナンディンの牛像があります。
同じヒンズー教徒の多いネパールには、所々に牛像らしきものがあります。また、街に野放しの神聖な野良牛があちことにたむろしております。
こう見ていくと、乳牛、肉牛と現在もお世話になっておりますが、人類と牛は古代から関わりが深いことがよく分かります。
おわり