高倉健さんの「南極物語」

 以前、最近出版された『その犬の名を誰も知らない』という本について、ブログに書きましたが、先日この題材の映画がテレビ放映されていました。40年前の映画です。その題材とは、南極で置きざりにされたカラフト犬タロ、ジロと越冬隊員が1年後に再会する物語です。

『その犬の名を誰も知らない』のブログは、

『その犬の名を誰も知らない』 - クマケア治療院日記 (hatenablog.com)

 古い映画は暗い感じで見にくいのですが、デジタル・リマスター版ということで、画像も綺麗で2時間半くらいの大作です。

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南極物語」のポスター

 現在は、白黒の写真もカラ-に再生出来るくらいですから、画像の技術は進んでいます。

この映画のキャッチコピーは、「どうして見捨てたのですか、なぜ犬たちを連れて帰ってくれなかったのですか。」ということで、当時のバッシングは強かったようです。

この答えも映画でよく分かり、ブログでもふれております。

 この映画の大筋は、南極に置き去りにされた犬たちのその後の行方と、犬係二人の帰国後の苦悩の姿、そして最後に犬係とタロ、ジロとの再会がで終わります。

 先ず、置き去りにされた犬たちのその後を、各々の犬の性格などから想像と創造で物語が描かれています。

 鎖でつながれた15頭のカラフト犬の泣き叫び、弱っていく姿から始まります。

アンコ、ジャック、リーダー犬のリキ、ジロ、シロが首輪抜けをして放たれます。風連のクマ、そしてタロも首輪抜けをし、ベリーも続きます。

 遂に、首輪抜けの出来なかった7頭の犬たちの弱って倒れていく姿、見事な演技と分かっていても可哀そうなシーンに胸が張り裂けそうになります。

その後の放たれた犬たちの姿も、見事に再現されていました。

未踏峰の山ボツンヌーテンの犬ソリ探査を思い出し、デポの食料をみつけるリーダー犬のリキ。

流氷に乗って離れていくアンコ。3歳利尻生まれ。

 風連のクマと、流氷に乗ってどこかにいったアンコの2頭が戻ったのには驚きました。風連のクマは、また大陸の方へ消えて行ってしまいます。

リキ、アンコ、タロ、ジロの4匹になり、空腹と寂しさとで疲労しきる4頭の姿があります。

 それでも4頭でアザラシを襲いますが、逆にアンコはアザラシに海に引き込まれて、とうとうリキ、タロ、ジロ3頭になります。

 リーダー犬リキ、『その犬の名を誰も知らない』に書かれている第3の犬ですが、遂に力尽きます。

 そして、残ったのは南極育ちの1歳のタロとジロです。タロとジロは、基地から離れることは出来ませんでした。遠征などから帰っても、基地がふるさとであったのです。

 この冬を基地で待つタロ、ジロに、南極の夏が帰って来ます。

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タロ、ジロと奇跡の再会を果たした北村隊員

 そして、犬係の二人の苦悩と葛藤の物語があります。犬係の二人とは、高倉健さん演じる菊池隊員と渡瀬恒彦さん演じる北村隊員です。

有能な地質学者の菊池隊員は、帰国後、世間の非難とバッシングに晒されますが、一切弁明せずに耐えます。

北海道大学講師の職を辞し、カラフト犬の故郷の稚内など犬の提供者への謝罪の旅に出ます。

 北村隊員は、南極から帰国後、南極越冬隊での事は一切口にせず以前の仕事に復帰しますが、犬たちのことを忘れられずに苦悩するのです。

そして、1年後の南極観測隊に再び志願してやってきた二人の隊員は、タロとジロに再会します。

映画では、両者がタロとジロに再会していますが、実際には、菊池隊員は観測隊には参加しておらず、北村隊員のみが、犬たちとの再会を果たしています。

 そして、いよいよ感動の最後のシーンです。基地で二人は、鎖に繋がれた犬の死体を発見します。そのとき、タロとジロが姿を現わします。

駆け寄る二人ですが、最初は分からず唸っていたタロ。

 しかし、菊池隊員の叫びで近寄る2頭、抱き合う二人と2頭、感動のシーンです。こうして映画は余韻を残して終わります。

 

あらためて15頭のカラフト犬のその後をおいます。

①繋留場で遺体を収容された犬7頭、

ゴロ、ペス、モク、アカ、クロ、ポチ、紋別のクマ

②氷海に消えた犬6頭、

リキ、アンコ、シロ、ジャック、デリー、風連のクマ

そして

③生き残ったタロとジロ

 この映画は、当時の日本映画の配給収入の1位を記録し、宮崎駿監督の「もののけ姫」まで破られなかったそうです。

尚、この「南極物語」のリメイク権をディズニーが取得し、登場人物を米国人とするなどして新たな物語として製作されています。海外でも反響があったようです。

 

 蛇足ですが、この映画では、主役の高倉健さんの墓が鎌倉の光明寺にあります。お寺巡りをしていると有名人のお墓に会うことがあります。高倉健さんの家が、北条氏の末裔で墓がたてられたようです。

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高倉健さんの墓  一番上の文字はサンスクリット語のようです。

                           おわり