九品仏浄真寺の「五劫思惟像」

 今年になって初めての寺院参拝です。比較的近い世田谷区の九品仏(くほんぶつ)を参拝に浄真寺に行って参りました。

御本尊の釈迦如来坐像、九品仏阿弥陀如来坐像は見応えありましたが、他に「五劫思惟(ごこうしゆい)像」は見たことがない珍しい仏像でした。

 東急線九品仏という小さい駅があり、そこから直ぐの場所にあります。「九品仏」とは、浄真寺に安置されています九体の阿弥陀如来像のことです。

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東急線九品仏駅

 駅から参道を歩き山門の前にあります「総門」を入ります。3匹の猫が総門の前にお出迎えです。

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参道

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総門 扁額は、「般舟場」

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総門の前の猫ちゃん3匹お出迎え

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ノビノビー 猫ちゃん

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境内にもおります猫ちゃん。

 正式には「九品山唯在念仏院浄真寺」と云い、浄土宗の寺院です。

四代将軍徳川家綱公の治世延宝6年(1678年)に奥沢城の城跡を寺地として賜り、高僧「珂碩(かけん)上人」が浄真寺を開山しました。山号(さんごう)は九品山。

 

総門から入ると直ぐにお地蔵さんがあちこちにおります。

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お地蔵さん

 閻魔堂があり、閻魔大王が笏を持ち憤怒の形相をしています。

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閻魔大王

 また開山堂には、珂碩上人自彫のご本尊が祀ってあります。上人像は、古来より安産・厄除・開運にご利益があるとされて、現在も信仰されています。

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開山堂

 そして、やっと山門(仁王門)に入ります。ここから本堂、九品仏のある上品堂などへ進みます。

山門は別名「紫雲楼」とも呼ばれ寛政5年(1793年)の建立です。阿吽の一対の仁王像の他に、楼上に阿弥陀如来と二十五菩薩像、そして風神・雷神も安置されているそうで、一度見てみたいものです。

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山門(仁王門) 重厚荘重なる仁王門です。
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阿吽の仁王像

 本堂の横に、釈迦の足の裏の形を刻んだ「石仏足」を見つけました。仏足石の起源は、玄奘三蔵の『大唐西域記』に、釈迦の入寂を知った阿難尊者の悲しむのを見て、そこにあった石に足形を残されたのが起源とされています。

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石仏足 天保年間のもの

 そして、いよいよ風格漂う龍護殿と呼ばれる本堂です。堂内にご本尊の釈迦如来坐像をはじめ数々の仏像とご尊像が祀られています。

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ご本尊の釈迦如来坐像 像高約3mの巨体が鎮座しています。

 

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宗祖の法然上人像

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賓頭盧尊者びんずるそんじゃ) 釈迦の弟子の1人。

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高祖善導大師像

 そして、堂内で、最も異彩を放っていますのが、阿弥陀仏信仰を象徴する「五劫思惟阿弥陀仏像」です。

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五劫思惟像

 どうでしょうか。長い瞑想の果てに髪がこのように伸びたのでしょうか。その体躯に比して異様なボリュームの螺髪が印象的です。

なぜこのような髪になったのかは、阿弥陀仏法蔵菩薩だったころ、五劫という長い年月全ての衆生を救いとろうと思惟し続けたため、と云われています。

一切の衆生が念仏を唱える事で極楽浄土に往生できるのも、自分がこれだけ修行したからと主張しているかのようです。

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五劫思惟像 木造(寄木造り)像高約120cm 江戸時代の像立

 

 本堂の三十六間向かい側に、上品堂を中央に、右に中品堂、左に下品堂の3仏堂があります。各仏堂に阿弥陀仏像3体ずつ安置されております。九品仏です。

これらの九品仏が、それぞれ異なった9通りの印相を示しています。これは『観無量寿経』に説く九品往生(くほんおうじょう)の思想に基づくものです。

極楽往生の仕方には、信仰の篤い者から極悪人まで9通りの段階があるとされています。

「上品上生」から「上品中生」「上品下生」、「中品上生」「中品中生」「中品下生」そして「下品上生」「下品中生」「下品下生」に至ります。

 浄真寺の九品仏の場合、阿弥陀如来の印相の内、定印を「上生印」、説法印を「中生印」、来迎印を「下生印」として、親指と人差し指(中指、薬指)を接するものをそれぞれ「上品」「中品」「下品」に充てています。

九品は、浄土教極楽往生の際の九つの階位を表しています。人の往生には上品・中品・下品があり、さらにそれぞれの下位に上生・中生・下生の合計9ランクの往生があるという考え方です。九品仏はそれを表した9体の阿弥陀仏のことです。

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上品堂(じょうぼんどう)

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上品堂の阿弥陀仏

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上品堂の印相(お堂に置かれているパンフレットより)

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中品堂(ちゅうぼんどう)の阿弥陀仏

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中品堂の印相

 

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下品堂(げぼんどう)の阿弥陀仏 (改装中)

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下品堂の印相

 本堂内にて御朱印や御守り等の授与品が戴けます。九品仏は、漆箔の浮き上がり、矧ぎ目の損傷などが多く認められます。

そのため2014年より一躰ずつ、計十躰の修繕を20年以上に亘る「九品佛大修繕事業」を行っています。

その一環として龍護殿にて「勧進写経」を行っており、勧進を納めて写経をしますと、見事な限定の金紙御朱印が戴けます。写経と云っても「南無阿弥陀仏」と書くだけです。わずか6文字ですが、心が洗われた感じがします。

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写経所 ご本尊の直ぐ横にあります。

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写経 うまく書けませんが。

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写経限定の御朱印

中央の文字は、古代インドのサンスクリット語が起源の梵字で、阿弥陀如来を表わしています。阿弥陀如来の「種子字」で、その仏様を象徴する一音を文字で表したものでキリークと云います。

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キリーク

 わたしは、何かとふくろう(不苦労)の小物を集めていますが、ストラップがありました。

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ふくろうの鈴守

 

 この淨眞寺の境内は、都心にありながら広く静寂としており、また古木が多く、樹齢数百年と思われるカヤ、イチョウなどもあります。コロナ禍のせいか参拝者も少なく、穏やかな気持ちとなるひと時でした。

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カヤの大木

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イチョウの大木

                           おわり