先週末から始まった、奈良大学での博物館実習(二)が全て終了しました。前半は1か月前に終わっていましたが、後半部分の3日間の実習です。始まる前日に寺巡りもしましたが、最初は暑く、最後は寒く寒暖の激しい日程でした。
そして、コロナ禍の状況は、1か月前とは一変していました。ホテルも土曜日の夜は空いていなく、旅行者も戻っている気配です。奈良大学も日曜以外は売店、食堂が開いており、学部もオンライン講義から対面に変わりつつある状況のようです。
コロナ感染者が急激に減っていても、新幹線、奈良の電車の中ではマスクをしていない人は皆無で、日本人の真面目さが伺え、これが、急激に減った欧米と違う要因の一つに違いありません。
今回の実習は、総勢20名、福岡、名古屋、千葉など様々な所から集まった熱心な方々で、男性が僅かに多いようです。最初、彫刻の仏像班と絵画の掛軸班10名ずつに分かれてそれぞれの講義、実技を受けます。講師は、変わらず関根館長と岡田教授です。
その後、自分の好きな仏像と掛軸の班に分かれて、班の人達同士が相談し、奈良大学博物館の展示室に作品のラベルなどを作って展示、評価しようというものです。
わたしは、仏像の講義のときに10数点の仏像の中からガンダーラ美術の石像を選択しそのまま展示の仏像班に入りました。
というのも、わたしの卒論の「半跏思惟像の伝搬」の中にガンダーラ地方の石像があったのですが、これもビーチサンダルみたいのを履いていて、3世紀にサンダルという履物があったという事で印象に残っていたからです。
頭部にはターバン冠飾を被り、装身具を付け、籐の台座に腰掛け思索する姿の石像です。ガンダーラ地方の現ペシャーワル周辺に三世紀頃に造られました。
話しを講義に戻して、一応仏像、掛軸の内容を紹介します。
仏像の取扱において、移動の際に梱包するときに使う綿ブトンの作り方と仏像の養生を行いました。
先ほどのガンダーラの菩薩立像を綿ブトン、薄葉紙を使い養生の過程です。
運搬する際は、これを綿ブトン、薄葉紙などを使いダンボールに入れ運搬し、開梱もこの逆の順序で行います。
そして、仏像の名称、時代、所蔵者、所在地、法量、材質そして特徴などを調査用紙に記入します。これが展示の際のラベルを作るときの元となります。
一般的な文化財の寄贈品及び購入品の台帳登録の仕方を学んだあと、掛軸に移ります。 掛軸の持ち方、箱の開け方、取扱の講義を受け、仏像のように各自自由に掛軸を選びます。そして壁に掛ける実習をして、それぞれのキャプションを皆に説明します。わたしの説明したのは、「雪中南天小禽図」でした。
最終日に、各自名称、解説文などのキャプションを印刷したラベルを作り、作品を博物館の展示室に運びます。
のり付きの発泡スチロールに、印刷したキャプションを書いた用紙を貼るのですが、これが難しい。何でもノウハウがあるのが分かります。
そして、予め相談していたのですが、仏像を全体的にどうレイアウトするか、時代順、形状など展示の仕方などを確認しながら、展示する位置を決めていきます。ラベルなどを置いて全体とバランスをとり、完成させます。
以下、展示した作品です。大きさ、地域、時代などを考慮して並べています。
最後に先生から評価をいただいて終了です。概ね評価は良かったのではないでしょうか。
さて、科目レポート、試験はまだ残っていますが、来年度に持ち越しとなりそうです。
6年間通った奈良大学には、これからは来ることはなく、車窓からの平城宮跡の大極殿、朱雀門も、もう見ないのではと一抹の寂しさも覚えます。
おわり