仏像のニュース二題

 最近の文化財のニュースで、仏像に関することが2点ありました。一つは、東京都調布市にある深大寺での開創1300年記念で、「白鳳院」を建立するというものです。東日本最古の国宝「銅造釈迦如来倚像(いぞう)」を安置します。

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銅造釈迦如来倚像

 わたしは、この釈迦如来像を深大寺と昨年の最澄特別展で2度見ていますが、柔らかい笑みを浮かべているのが印象的でした。椅子に座るような倚像という様式は、珍しいですが7世紀頃の白鳳期の作品とされ、高さは約84㎝です。白鳳仏としてきわめて貴重な仏像あるとして、2017年国宝に指定されています。

 国宝になったことで、より厳重な管理が出来る建物に移し後世に残したい、ということで白鳳院の建設を決めたようです。深大寺では、現在釈迦堂に安置されています。この白鳳仏に加えて、「法隆寺・夢違観音像」、「新薬師寺・香薬師像」の模造の像を加えて三尊像として展示してありました。

 深大寺では、白鳳院の落慶を2023年に目指して寄進を呼び掛けています。寄進は、オンライン申し込みで、寄進額に応じて返礼品がいただけます。10万円の寄進ですと9cmの複製品と3年間有効の無料拝観証です。

これは無理ですが、5000円の寄進を致しました。返礼品として特別限定のご朱印と白鳳院無料拝観券2枚がいただけます。

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特別限定のご朱印のイメージ

 特別限定御朱印とともに、どのような建物に安置されるか、また今後の楽しみが増えました。

 

 もう一つは、愛媛のお寺の秘仏に、五輪塔が納められているというニュースです。

愛媛県鬼北町の等妙寺の本尊、「菩薩遊戯(ゆげ)坐像」の体内に、八角柱を主体とした木製の五輪塔が納められていることが、九州国立博物館X線CTスキャン調査でわかったのです。

 鎌倉時代、13世紀の作品で、仏像に魂を込めるため特別に制作されたとみられます。遊戯坐も倚像と同様古代中国の北魏などから伝承された半跏坐の変形で、珍しい仏像の姿勢の一様式です。

 愛媛の菩薩遊戯坐像は、片膝を立てて岩の上にくつろぐ姿を表した高さ89cmの木像です。60年に1度しか公開されない秘仏として知られ、顔立ちや着衣の写実的な表現などから、運慶・快慶に続く世代の仏師の作とみられるといいます。

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菩薩遊戯坐像

 同館の調査によると、像内の首の部分で高さ約5cm、幅約2cmの五輪塔が確認されました。さらにこの塔内部には、舎利(釈迦や聖者の遺骨)を表現した直径1~3mmの粒が約20個納められていることも分かりました。

 今回確認された五輪塔は、八角柱を主体とする独自の造形で、同館の大澤信・研究員は「仏教で8は完全な数字とされる。制作や寺への伝来の背景を探る上で貴重な発見だ。」と話しています。

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X線CTスキャン撮影で確認された仏像内の五輪塔

 菩薩遊戯坐像は、九州国立博物館と、その後京都国立博物館の特別展「最澄天台宗のすべて」で公開されるそうです。

以上深大寺の銅造釈迦如来倚像と等妙寺の菩薩遊戯坐像の最近のニュースでした。

参考:深大寺HP、2022年2月1日付読売新聞朝刊

                      おわり