松姫様の信松院

 久しぶりの寺院巡りです。東京都八王子市ですが、所要がありそのついでですが、信松院(しんしょういん)を訪問しました。八王子市は、もう30年以上前ですが、10年間住んでいましたので思い出多い街です。

 信松院は、曹洞宗の寺院で、山号は金龍山、開基は武田信玄の四女、松姫です。松姫の一生は、当時の信玄、信長、家康の争いに巻き込まれ、波乱万丈のものでした。

松姫は7歳のときに、織田信長の嫡子11歳の信忠と婚約します。しかし、家康との三方ヶ原の合戦で信長が徳川方に援軍を送ったことで松姫との婚約も解消されます。

 その後、信玄の病死、信玄の後を嗣いだ武田勝頼も、織田・徳川両軍の前に天目山で討死、ここに甲斐源氏の名門武田家は滅亡します。

 松姫は、父祖の地、甲斐を後にして見知らぬ他国の関東を目指して落ちのびます。

曹洞宗名刹心源院にて出家され、尼僧となりますが、御年22歳です。

尼僧となった姫は信松尼と改名し、天正18年(1590)、御所水の地(現在の八王子)に信松院を開基します。

この頃の八王子は、北条氏から徳川家康管領するところとなります。それからの後の松姫は、56歳の生涯まで多くの村の人々から慕われ続け、絹織物技術を教え伝えます。これが現在の八王子の産業の礎となったと云われています。

 前置きが長くなりましたが、扨て、信松院です。まさに松姫一色の感があります。山門の前に桜の大木、反対側に「松姫様の東下之像」があります。

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信松院の山門

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松姫様の東下之像

 山門から境内に入ると、直ぐに石碑が目に付きます。禅語「本来無一物」の石碑です。「万物は元々空である。手に一物も持たずに生まれ、一物も持たずに世を去る。禅は名誉や財産に執着することを笑う。」と刻まれています。なるほどいい言葉です。

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禅語「本来無一物」の石碑

 境内全体は、観音堂を中心に植木、石を配置し、バランスがとれた見事な光景です。

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境内光景

観音堂は、他の寺院とは趣が違い天守閣をもつような外観です。

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観音堂の外観 中国風でもあり、青い屋根が目立ちます。

その隣に、穴守稲荷社もあります。

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穴守稲荷社 神仏習合です。

 観音堂の正面からですが、手前に「八王子御所水観音」の石碑があり、堂内は御本尊の聖観音菩薩、三千体の小観音さまが安置されているようです。

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観音堂正面 この観音堂は戦災で焼失した後、平成元年に再興されています。

 観音堂の扁額は、山号の「金龍山」です。

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観音堂の扁額

 観音堂の右横に、布袋尊の石像があります。布袋尊は、八王子七福神の一つですが、地下に大きな布袋尊を祀っています。地下一階の「布袋堂」です。

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布袋堂

ほっこり癒される立派な布袋尊像です。

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布袋尊

 この布袋尊像と背中合わせにたくさんの布袋尊が祀っておりますが、よく見ると皆、布袋さんですね。

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たくさんの布袋尊

 布袋堂の裏の方に松姫様のお墓があります。一般のお墓の場所にありますので、親切に所々に案内に碑があります。

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案内碑

 墓所に入り、大きな松の木が目印です。

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松の木に守られているような所にあります。

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松の木の下に松姫様のお墓

これが武田家の家紋、武田菱のある信松尼の墓所です。

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信松尼墓所

お墓ですが、何か彫られていたようですが、よく分かりません。

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松姫様の姿のように見えますが。

結構、人が参拝に見えており、境内にカフェも開設していて、地域密着した寺院でありました。

 

 さいごに、御朱印です。

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釈迦牟尼仏(釈迦の尊称)は、どこに祀っているのか、聞き逃しました。

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布袋尊御朱印

小物もいつも求めます。福娘とは、松姫様でしょうか。

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福娘

                     おわり