前回の世田谷観音の続きです。仁王門から阿弥陀堂、六角堂と拝観してきましたが、本堂の観音堂まで参道の左右に、屋外の仏像などが並んでいます。
六角堂の隣に、夢違観音が池の中に立っています。
夢違観音は、悪夢を良い夢に変えてくださる観音様と云われ、法隆寺の夢違観音(87cm)を拡大模写したお姿です。柔和な微笑みは、まさしく法隆寺の夢違観音のお顔です。
阿弥陀堂の向こうには文殊菩薩像です。九州の太宰府天満宮より招来の石仏です。「三人寄れば文殊の知恵」の諺にもなっています。足元にかしずく大きな狛犬みたいな石像が怖そうで面白い。
驚きましたが、弘法大師空海上人で有名な「三鈷の松」もあります。樹齢100年以上とされ、同種のものは高野山金剛峯寺にあります。世田谷観音のものは、特に幹の胴部からも芽吹くので、大変珍しい松と云われています。
八方睨み達磨大師、水子観音様・馬頭観音碑が3像1セットの石像でおります。この3像に繋がりはあるのでしょうか。仏像の表情は、豊かです。
鐘楼堂は、旧石薬師寺(しゃくやくしじ)所蔵だったもので、奈良極楽寺什物で慶長10年(1605)の銘があります。現役の鐘楼としては区内最古のものです。
そして、いよいよ本堂の観音堂です。ここにも狛犬が配置されています。
本堂入り口の龍神様は、元福井城にあった(現在ボストン美術館蔵)ものの復元で、金沢三名工の一人、石塚他三郎氏の作で欅材の一木彫です。
ご本尊は、聖観音菩薩像で脇侍は少し離れていますが、日光菩薩、月光菩薩です。
日光・月光菩薩は、通常、薬師如来の脇侍が多いのですが、ここのように薬師如来以外の脇侍にもなっている寺院もあります。
日光菩薩の右に祀られているのがマリア観音です。隠れキリシタンが聖母マリアの化身として、ひそかに崇拝した観音像です。仏教とキリスト教が混在している不思議な世界で、和洋の神仏習合がここにあります。
布袋尊、大黒尊、不動明王、牛像など多数並んで安置されております。
本堂の直ぐ左隣に、特攻観音堂があります。堂内には、特攻平和観音尊像が祀られています。その胎内には特攻作戦で若い命を犠牲にした英霊の名が奉蔵されています。
堂の左手前には、世界平和の礎(吉田茂揮毫)、そして神州不滅特別攻撃隊の碑が建てられています。
また、世田谷観音を開山した睦賢和尚のお墓もあります。
開山した睦賢和尚は、波乱万丈の人生であったようですが、よくぞこれほど素晴らしい、珍しい文化財を集めたものだと感心します。
最後に御朱印ですが、コロナ禍で書置きしか扱っていない寺院が多いのですが、ご住職は見ている前で達筆に書いて戴きました。書かれた字で、お寺の品格が表れているように思えます。
おわり