等々力渓谷散策 大日如来の満願寺

 今回は、世田谷区の等々力渓谷沿いに、付近の寺社、古墳を散策して参りました。東急大井町線等々力駅から北と南の方向に目的地が点在しています。

南に行くと等々力渓谷があり、多摩川水系である谷沢川に、東京23区唯一の渓谷があります。渓谷には30カ所以上の湧水が発生し、湿地を形成しており、渓谷の付近に古墳、寺院があります。

 

 最初に、等々力駅を渓谷と反対の北側に行きました。

北東に数分の所に、真言宗智山派の寺院である「満願寺」があります。開創は平安時代末と伝え、中興は室町時代です。吉良氏の居城であった兎々呂城の一角(現在地)に祈願寺として移築されました。

満願寺山号は、「致航山」、院号は「感應院」です。

 

山門は昭和43年築で、近代的でシンプルな感じですが、どこか和の香りも残しています。和風の意匠である数寄屋建築を、独自に近代化した建築家、吉田五十八氏の設計です。

山門

 扁額の「致航山」は、細井広沢の筆です。細井広沢は、元禄年中、柳沢吉保に重用された名筆家として知られています。

扁額

 境内に入ると、同じように近代的な整然とした空間があります。正面に本堂、そして講堂、客殿、庫裡などが近代的な感じで並んでいます。緑の庭園、手水舎など寺院にあるようなものも一切なく簡素な印象の境内です。

境内の景観 

 本堂は、木造の古い建物ではなく、コンクリート造りで、屋根は銅板といった近代的な建物です。

御本尊は、金剛界大日如来です。正面のガラス越しに内陣が見えます。寺務所の若い僧侶は、厨子に安置されているので見えないとのことでしたが、薄っすらと大日如来像の輪郭が拝めます。

本堂

扁額 満願寺

内陣

御本尊の大日如来

本堂の左手は、続いて客殿、庫裡があります。寺務所が一番右です。

客殿、庫裡

寺務所

 本堂の裏手に、大塔(多宝塔)が見えます。1990年に檜皮葺(ひわだぶき)総檜造りで完成しました。春秋お彼岸など3日のみ開帳するということで、通路が閉まっていて行くことが出来ません。

大塔

 左手に講堂があります。講堂には三体地蔵の一つ、一言地蔵が祀られているそうです。一言祈願すると願いが叶うということです。

講堂

 本堂の左裏手には広大な墓地が広がっています。その中に国史跡に指定されている細井広沢墓所があります。

墓所に行く前にお地蔵さんが並んでいます。

お地蔵さん

 満願寺を出ると横に庚申塔(こうしんとう)があります。庚申塔とは、中国より伝来した道教に由来する庚申信仰に基づいて建てられた石塔のことです。

庚申塔

 その横に、世田谷区教育委員会満願寺に関する説明板あり、せたがや百景「等々力の満願寺」とあります。

世田谷区教育委員会の説明板

 満願寺は、江戸時代に御朱印寺領を拝領したほどの寺ですが、近代的な建物に生まれ変わったようにシンプルです。

成田山などを手掛けた、吉田五十八氏の建築は、近代的であり和の香りも残して素晴らしいと感じました。

 

 そして、Google mapで経路を調べていると、満願寺の更に裏手に、「薬師如来瑠璃光院」という寺院とその隣に「玉川神社」があることが分かったので、そこにも行くことにしました。

 満願寺を左手に真っ直ぐ進みむと、左に薬師如来瑠璃光院へ行くらしき道が続いています。

満願寺を左に行きます。

 

細い参道の先にお堂のようなものが見えます。

 

参道の左側には石仏群が可愛らしく佇んでいます。

石仏群

そして、小さなお堂が見えて来ます。

お堂

 そのお堂には扁額も説明板もありませんが、Google mapの位置が合っているので、薬師如来瑠璃光院に相違ありません。

お堂の中を覗くと、石像と思われる2体の仏像が安置されています。

右の仏像は、密教法具の五鈷杵らしきものを右手に持っているので弘法大師です。

左の仏像は、お寺の名前からすると薬師如来坐像と思われます。

薬師如来坐像空海像  よく見ると結界が張られています。

空海

 付近にもう一つ祠を見つけました。中に地蔵菩薩と思われる石像が安置されていました。

地蔵菩薩像の安置された祠

地蔵菩薩

 薬師如来瑠璃光院は、満願寺と同じ真言宗系のお寺と思いました。

人知れず佇むお寺が、何か穏やかな気持ちにさせてくれます。このような場所は本当に落ち着き、また来ようという気になります。

 

薬師如来瑠璃光院の向かいに玉川神社があります。次回に。まだまだ続きます。

 

最後に満願寺御朱印です。寺務所にて、若い僧侶が直筆で梵字まで入れて書いて戴きました。

質問にも快く答えて戴いて有難うございました。

御朱印

 

参考:満願寺ホームページ

                  おわり