梅雨入りしている東京ですが、梅雨明けのような猛烈な暑さが続いています。全国的にも洪水などの異常気象が起きているようです。そんな暑さの中、健気に生きるアゲハの幼虫の観察記です。
アゲハの幼虫
春からアゲハ(ナミアゲハ)、キアゲハなどがやって来てミカンやキンカンそして柚子などの柑橘類に卵を産み付けます。
しかし、卵から孵った幼虫の殆どが、緑色の5齢(終齢)幼虫になる前にいなくなります。野鳥か、あるいはカマキリ、トカゲなどに食べられるのでしょう。この狭い自然界でも生存競争は激しいようです。
そこで、卵、幼虫を飼ってみることにしました。果たしてアゲハの成虫になり、無事羽ばたけるでしょうか。飼育する時に、十分な量の葉を与えることが必要です。産卵から成虫まで1ヶ月位かかるようです。庭の木はそれ程大きくないので卵と幼虫1匹ずつとしました。
成虫への段階
以下がアゲハの卵から成虫迄の段階です。アゲハは、蛹の段階を経てから成虫になる完全変態の昆虫です。
・卵
・1~5齢幼虫
・蛹(さなぎ)
・成虫
幼虫にも段階があり、1~5齢幼虫に分けているようです。5齢幼虫が最終で脱皮して緑色に変身します。1~4齢幼虫は、見た目はあまり変わりません。
観察日記の始まり
2齢幼虫
キンカンの木から枝ごと切って持ち込んだ「2齢幼虫」です。
卵から孵って1週間位の2齢幼虫でしょうか。トゲトゲした感じで中央の白い線がまだはっきり目立ちません。
3齢幼虫
3日後。模様の白がはっきりとし、結構葉を食べています。


4齢幼虫
それから4日後。丸まった葉の中で5齢幼虫になる準備
少し青みがかり、葉に同化している感じ。
5齢幼虫
次の日。遂に変身して5齢幼虫に。下の黒いものは脱ぎ捨てたものと思われます。
食べ物捜しに出かける5齢幼虫。


盛んに動いて食べまくります。
食欲旺盛。糞が溜まっています。
この暑さの中でも葉っぱをモリモリ食べ、順調に成育中。
目、足の模様、くっきり。本当に目にしかみえない模様。


蛹になる準備で何本か住処に枝を立てる。下が枝です。
5齢幼虫になって5日後、体長4~5cm位。そろそろ蛹になる準備。家の見取り図。
次の日、蛹になる場所を探して、住処の段ボール上まで上がってしまう。
元の住処に戻すとき、黄色の臭角を出してかなり怒っていました。この「臭角」は、アゲハ類幼虫特有のもので、敵から攻撃を受けた際に一瞬で飛び出します。わたしにとってあまり臭いは感じません。小さい幼虫からこの武器は持っています。
最後の朝の5齢幼虫の姿です。
その日の夕方に、折角、枝を4本立てたのですが気に入って貰えず、段ボールの壁に直接へばりつきました。随分小さくなったように思えます。
次の日、短くなった5齢幼虫が体を折って張り付いています。
蛹(さなぎ)となる
2齢幼虫から17日間で、遂にまだ緑色が残っていますが、蛹となっていま
す。2本の糸で見事な容姿です。
上から見た蛹です。上手く2本の糸を張るものです。
次の日緑色からこげ茶色に。
4日後、変わらず。
それから5日後、突然アゲハ蝶になりました。前日は同じ蛹姿だったのですが、朝、カーテンにいきなり「アゲハチョウ」が止まっていました。
一瞬何が起こったか分かりませんでしたが、やっと呑み込めました。夜中に蝶に孵っていたのです。小さな蛹から大きなアゲハとなり驚きました。そして、網戸の所に行き外に出たいような感じでした。
網戸を開けると、直ぐに大空高く飛び立って行きました。
全く動かない蛹の期間が、10日間と長かったのですが、蝶になってから一瞬で飛び立ちました。最初の2齢幼虫から「1ヶ月」近くです。
段ボールの壁にへばりついた蛹は、まさに蛻の殻(もぬけのから)でした。


おわりに
今回のアゲハの幼虫の観察は、生きもの好きのわたしにとって、不思議なことの連続でした。先ず、アゲハ蝶が卵を産み付ける柑橘類をどう探しているのか。いつもヒラヒラ飛んでいるみたいですが、脚先で味を調べて産み付けるというから不思議です。若い頃の味を覚えているのでしょうか。
幼虫に新しい葉の付いた枝を与えるのですが、幼虫がどうやって新しい葉の所に辿り着くのか、あの「臭角」を出す一瞬の早業のしくみ、そして2本の糸で段ボールの壁にあの状態を見事に作り出せるのか、などなど全てが不思議なことばかりです。
臭角。
最後にあの小さな蛹から大きなアゲハ蝶が生まれてくるのが手品みたいで不思議です。生まれてから直ぐに自分で餌を探し、親の助けを借りず生きていく姿に心を打たれます。無事育ったことは嬉しいし、感動を与えてくれたアゲハに感謝です。
尚、もう1匹の卵から育てているアゲハもいます。現在5齢幼虫。機会を見て報告します。
以上