東洋医学は、鍼(はり)、灸、漢方そして養生と云われています。治療にも欠かせないのがお灸ですが、一般的に熱いというイメージがあります。
お灸にも種類は色々あり、熱いイメージの灸は、皮膚に直接モグサ(よもぎが原料)を置いて施灸するからです。生体に強い刺激を与えて、それに伴って生じる生体反応を治療に利用するものです。これを透熱灸(とうねつきゅう)と云い、米粒を縦に割ったくらいの大きさのモグサです。
しかし、実際にはそれほど熱いものではなく、疾患によっては、全く熱さを感じないものです。
また、直接皮膚につけず気持ち良い温熱刺激を与えて、効果的な生体反応を期待するものも多くあります。知熱灸(ちねつきゅう)、隔物灸(かくぶつきゅう)、棒灸などです。
テレビの宣伝で見かける「せんねん灸」もこのうちの1種です。
灸頭鍼(きゅうとうしん)は、ハリの頭にモグサを球状に付け点火することで、ハリの効果と灸の温熱刺激を同時に生体に与えるものです。
前置きが長くなりましたが本題は「棒灸」です。棒灸は、モグサを和紙などで棒状に巻き、先端から燃焼させて使用するものです。
本来は、火のついた棒灸を患部の皮膚に少し距離をおいて輻射熱で暖めるような使い方をします。
わたしは腰痛などの患者に棒灸をよく使用しているのですが、その方法は、患部をタオルで覆い、そこに直接棒灸を少し付けます。暖まったタオルを棒灸手袋で、深く熱が患部に届くように押し付けます。それを連続的に繰り返して患部全体が暖まるまで行います。
その棒灸は、以前ネパールで製作していたのですが、現在は自分で作っています。
以外に簡単で、必要なものは、和紙、モグサがあれば作れます。和紙を筒状にして中にモグサを詰めるのです。
治療に適当な棒灸の寸法は、直径が3.5cm~4.0cm、長さが15cm程度です。
治療はハリと併用しますが、棒灸の効果は絶大です。腰痛は施術し易く最適ですが、膝痛、肩こりにもよく効きます。また体のどの部分でも治療することが出来、例えば眼精疲労にも目の部分(眼輪筋)に当てて使う事ができます。
膝痛の患者が杖を忘れて帰ったり、腰痛の患者が、腰から足先まで経絡上(膀胱経)に暖かさが伝わるなど驚くことが起きます。これが東洋医学の不思議なのかと思います。
コロナ禍の今、自分の免疫力、自然治癒力を高めることが一番です。睡眠、食事、平常体温を高めることなどが基本ですが、効果的な経穴(ツボ:例えば合谷、大陵、足三里、三陰交、関元など)に毎日お灸をすることが有効かと思います。
おわり