鳩森（はとのもり）八幡神社は、御祭神に応神天皇・神功皇后をお祀りし、千駄ヶ谷一帯の総鎮守の神社です。
慈覚大師が貞観2年（860）関東巡錫の途中、鳩森のご神体を求める村民の強い願いにより故事にのっとり、神功皇后・応神天皇の御尊像を作り添えて、正八幡宮として祀ったと伝えられています。
境内には都内最古と言われる、実際の富士山を再現した富士塚があります。「千駄ヶ谷の富士塚」として江戸時代より親しまれています。
古代より富士山は、頂上に仏や神が座す神聖な場所として、また山自体が御神体として、山岳信仰、霊山信仰の対象でした。富士山に登ることのできない方たちも、富士塚に登れば、富士山に登ったのと同じ霊験が得られるとされています。都内にも100か所程富士塚があるようです。
渋谷区のJR千駄ヶ谷駅から5分ほど歩くと、交差点に鳥居が見えて来ます。この鳥居は、正面の入口ではなく大鳥居と呼ぶようです。
左側の正面の入口へ回ります。こちらが正面鳥居です
参道を進みますと向こうに御社殿が見えます。
正面鳥居から直ぐ左側にまだ新しい建屋が目に付きます。旧神楽殿を再建し平成12年に竣工された「能楽殿」です。大祭には能が奉納され薪能（たきぎのう）も催されます。
そして、手水舎です。
御社殿の前の阿吽の狛犬です。
御社殿は、昭和20年に戦災により焼失しましたが、昭和56年末に再建されます。その後、平成２年の御大典を記念して、昔日の姿に復元する建設工事を行い、総欅造りの社殿が平成5年に竣工しました。
拝殿東側です。
拝殿、幣殿、本殿の区別が分かりませんが、鳩森八幡神社の公式サイトや栞には「御社殿」とあります。
そしていよいよ富士塚ですが、御社殿前の東側に富士塚があります。
寛政元年（1789）の築造と言われ、円墳形に土を盛り上げ、富士山の溶岩は頂上近くに配され、頂上に至る登山道は自然岩を用いた階段となっています。山裾の里宮（浅間社）をはじめ、烏帽子岩、釈迦の割れ石、山頂の奥宮等富士山を再現しています。
登り口にも鳥居があります。そして「千駄ヶ谷の富士塚」の標柱と案内図もあります。
登山道は狭く、結構急坂です。
二合目に冨士浅間神社の「里宮」があります。
亀岩もあります。
4合目に「小御嶽石尊大権現」を祀っています。
そして、6合目に「食行身禄（じきぎょうみろく）」の像です。富士山の烏帽子岩で断食行を行い、35日後にはそのまま入定したという人物です。
9合目の登山道から山頂です。
山頂にも富士山を模した金明水、銀明水そして釈迦の割れ石などが満載です。
そして、冨士浅間神社の「奥宮」があります。
山頂からの景色も方角によって色々です。
扨て、下山は転ばぬように慎重に降りて行きます。
超ミニ富士山とはいえ、食行身禄像、山頂の金明水、銀明水など実際の富士山を忠実に再現していることに驚きました。仏教の力とはいえ、昔の人は、このようなものをよく造ったものだと感心いたします。当時の富士講の関係者は、こんな都会のど真ん中の渋谷区に造ったことを、驚いていることでしょう。
もう少し境内の末社などを見て回ります。
この神社の西側に日本将棋連盟の開館がありますが、その関係でしょうか、富士塚の北側に六角の「将棋堂」があります。
説明掲示板によりますと、堂内に安置された大駒は、御影石に将棋盤の上に立ち、その奥に氏神の八幡神が祀られているということです。
富士塚の直ぐ東側に「甲賀稲荷社」があります。富士塚を登っているときに朱色の鳥居をよく見かけたのですが、この末社の鳥居でした。
甲賀稲荷の直ぐ脇に、狛犬が見えます。最初に見た千駄ヶ谷駅方面の大鳥居です。
脇に神木の大イチョウがあり境内案内図があります。そして大鳥居です。
ほぼ境内を見終わり、御社殿の方向へ戻って、社務所で御朱印を戴きます。鳩森八幡神社のものと富士塚登拝記念の2種類です。記念に鳩の鈴も求めました。
千駄ヶ谷は、あまり降りた記憶が無いのですが、折角来たので将棋会館や鳩森八幡神社の別当寺であった瑞円寺などを散策しようと思います。この様子は次回で。
おわり
