徳川家ゆかりの寺「高円寺」 双竜鳥居のある不思議

 杉並区の寺社散策、最後に「高円寺」です。JR高円寺駅近くの「高円寺氷川神社」から直ぐの所にあります。

 

 北側の通りに面した所に山門があります。石門に高円寺の名前がありますが、山門はもっと奥に見えます。

 

 山門です。左に立派な「宿鳳山(しゅくほうざん)高円寺」と刻まれた寺号碑があります。

 

 山門正面です。扁額の文字は、山号の宿鳳山です。

 

また、徳川家ゆかりの寺であることから「徳川葵」の寺紋です。

 

山号:宿鳳山

寺号:高円寺

宗派:曹洞宗

本尊:木造聖観音菩薩立像

 

縁起

 宿鳳山高円寺は、弘治元年(1555)、中野成願寺第三世建室宗正によって開山された曹洞宗の寺で、「高円寺」の地名は当寺に由来します。かつてこの地は、周辺に桃の木が多くあったことから桃園と称され、恵心僧都源信作の本尊は桃園観音、御堂は桃堂の名で呼ばれていました。

 三代将軍徳川家光の知遇を得たことにより名が知られ、それまで小沢村と呼ばれた村名を、寺名をとって高円寺村と改めたのも家光と云われています。以来、「高円寺」の名は駅名などにもなり、現在に至っています。

             (杉並区教育委員会掲示より抜粋)

 

本堂へ

山門から参道を進み真っ直ぐ本堂を目指します。

 

本堂の前には、大イチョウです。

 

本堂です。現在の本堂は、昭和29年(1954)に再建されたものです。

 

本堂正面上部の彫刻が格調高いです。

 

本堂の左脇から庭を散策してみます。

 

庭も広くお堂などがあります。

 

双竜鳥居

本堂の左に位置している鳥居が「双竜鳥居」です。

 

 双竜鳥居は、当寺と先程見て来た近くの「馬橋稲荷神社」、そして「品川神社」と珍しく、都内に3か所のみです。昇龍と降龍が鳥居の左右の柱に巻き付くように彫刻されており見事な造形です。

 

 鳥居の奥にお堂があります。稲荷神社と聞いていましたが、その雰囲気ではないようです。

 

双竜鳥居の直ぐ左が、寺院の西門です。

 

子育地蔵堂

本堂手前の左手に地蔵堂があります。

 

地蔵堂手前の奇妙な石像です。

 

この地蔵堂には、幾つかの石仏が祀られています。

 

中央は、「桃園子育地蔵菩薩立像」です。足元に二童子がいるようです。

 

その左は、庚申塔のよう形状ですが、中央に何か彫刻されている感じです。

 

中央の子育地蔵菩薩の右側には、三猿の石像と布袋像です。

 

この地蔵堂には、なかなか面白い組み合わせの石仏がありました。

 

おわりに

 境内は、あまり参拝者も多くなく静かですが、山門をくぐると整然とした庭など、将軍がらみの由緒ある寺院だけに格調高い寺院です。御朱印もなく賽銭箱も置いてありません。

 この寺院の特色である「双龍鳥居」がありますが、寺院にこのような鳥居が造られた経緯がどうなのか不思議に思え興味深いところです。

 

 JR中央線沿線の国分寺、吉祥寺、高円寺は、中央三寺と云われています。国分寺は、「武蔵国分寺」という立派な寺院があります。ここは、2年前に行っています。

聖武天皇の「国分寺建立の詔」  武蔵国分寺① 薬師堂編 - クマケア治療院日記 (hatenablog.com)

 現在の吉祥寺に「吉祥寺」という名の寺院はありません。明暦の大火により、現在の文京区の吉祥寺門前の住人が、五日市街道沿いを開発・移住したことにより名付けられたようです。吉祥寺という曹洞宗の寺院は、文京区本駒込にあります。

 そして、「高円寺」という寺院は、このように立派にありました。現在も存在しているとは思いませんでした。

 因みに、わたしが参拝した駅名に寺がつく区内の寺院は、「豪徳寺」、「祐天寺」、「新井薬師」、「高幡不動」があります。まだ他に思いつくだけで「池上本門寺」、「護国寺」、「泉岳寺」などがあり、このテーマで散策するのも一興かと思います。

 寺院だけでなく神社も同様ですが、参拝のために鉄道を敷き、駅を造ることが多いようで、昔から現在の日本人の信心深さが伺えます。

                      以上