外来生物の逞しさ

 動植物の外来生物のはびこりは、相当なもののようです。

植物では、「セイタカアワダチソウ」、「オオキンケイギク」をどこでもよく見かけます。

 セイタカアワダチソウは、明治時代末期に園芸目的で持ち込まれましたが、北アメリカ原産の外来種です。

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セイタカアワダチソウ

 背が高く地下茎を伸ばして良く増え、都会の空き地でもよく見かけ厄介者といったイメージです。また、ブタクサに見た目が似ていることもあって、秋の花粉症の原因となると誤解されます。しかし、風媒花ではなくハチなどの虫によって受粉する虫媒花なので花粉症とは無関係のようです。

 オオキンケイギク、これもよく見かけます。空き地や道路脇などでコスモスに似た黄色い花を咲かせます。

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オオキンケイギク

 繁殖力が強く一度定着すると、在来種の野草などの生育場所を奪い、周りの環境を一変させてしまいます。 「きれいな花だからといって、自宅の庭や花壇などに植える事などは絶対にしないで下さい。」と呼びかける市もあるほどです。

 実は、我が家の庭にもはびこっている外来種の植物があります。

それは、タカサゴユリ高砂百合)で、よく聞くテッポウユリと見分けがつきにくい白い花の植物です。数年前から植えてもいないのにいつのまにか2本が競うように背を伸ばし2、3mもあり花を咲かせました。それから分散してぽつぽつと増え、違う場所に伸びてきます。今年は多数分散して生えています。

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タカサゴユリ

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アプリ「ハナノハ」でもテッポウユリと出ます。

 タカサゴユリは、一般にテッポウユリよりも大型で、葉が細めですが区別はつきにくいです。白い花は、大きくそれなりに綺麗です。

最近の読売新聞の記事に載っていたのですが、タカサゴユリは、台湾の固有種で100年近く前に園芸用に移入されたのですが不思議なことに、15年ほど前から武蔵野の路傍、荒れ地、庭などに目立つようになったそうです。増え方は、一つの実に千個もの大量な種子が実り、風に乗って広範囲に散布され、発芽した翌年から開化します。なるほどその通りですね。

 近年はテッポウユリタカサゴユリの園芸的交配が行われ「シンテッポウユリ」という新しい品種が生まれているそうです。タカサゴユリは、花の見た目は美しいのですが所構わずはびこってしまう外来種、交雑種なのです。

 

 外来種の動物では、アライグマ、アカミミガメ、アメリカザリガニカミツキガメブルーギルなどを直ぐに思いつきます。

また、貨物で運ばれたのか、「セアカゴケグモ」発見のニュースが度々あります。

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セアカゴケグモ

 セアカゴケグモは、神経系に障害を起こす毒を持つということですから、身近にいると怖い気がします。背中に赤い縦じまがあるのが特徴です。

オーストラリアが原産地と云い、1995年に大阪府で発見されて以降、その他いくつかの地域でも見つかっています。毒は獲物を咬んだときに獲物の体内へ注入されるようです。

 千葉県の外来生物キョン」もよく聞きます。キョンは中国南東部や台湾などに分布する小型のシカで、体高は40~50cm程度しかありません。勝浦市にあった観光施設「行川アイランド」から逃げ出したとされています。気候が温暖で餌となる下草に恵まれていることもあり、個体数は年を追うごとに増えていったようです。キョンによる農作物被害や自然植生の食害も懸念されておりますが、なかなか駆除は進まないようです。

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キョン

 我が家の近辺には、ハクビシン(白鼻芯)が外来種で以前見かけました。果物が好きなようで、ブドウ、ビワを度々食べに来ました。最近見かけませんが、今年もブドウが無事で来ないようです。

庭にはニホントカゲニホンヤモリが住んでおりますが、ニホンが付くので外来種ではなさそうです。

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ニホントカゲ 長年住んでいます。

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ニホンヤモリ 家を守ってくれています。

 そして、柴犬チロリもいますが、これも日本原産の日本犬の一種です。

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柴犬チロリ 角が生えているようです。

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いつも通り道に寝ており、遠回りをしなければなりません。

 こう見てくると在来種は、小型で温和で、自分の領域を守り、環境に害を与えていない場合が多いようです。

 

 しかし、外来種も、最初は食料不足や鑑賞用などそれなりの理由があって導入されたのだと思います。結局は、人間の身勝手さがこのような在来種に影響を与える結果となったということなのです。

                   おわり