今回も寺院巡りで素晴らしい仏像に出会いました。板橋区にあります安養院の紅頗梨色(ぐはりじき)阿弥陀仏です。東京にも数多く素晴らしい仏像があるものです。
安養院の山号は、武王山、宗派は真言宗豊山派で、豊島八十八ヶ所霊場の1番札所でもあります。
武王山最明寺・安養院の創建は、鎌倉時代1256年鎌倉幕府五代執権北条時頼公によります。出家され諸国行脚のおり、この地に立ち寄り持仏の摩利支天尊をお祀りになったのが起源とされています。
時頼公の嫡男は、二度の元寇を処理し円覚寺を創建した時宗です。
その後兵乱により灰燼に帰しましたが、1688年(元禄元年)に祐淳大比丘が再興し、阿弥陀如来を本尊として祀り現在の安養院を形づくりました。
安養院は、思ったより大きな綺麗な佇まいの寺院です。まず山門から入ります。扁額は山号の「武王山」です。
山門から入って、直ぐ正面に本殿がありますが、その左側に弘法大師の修行像があります。そして、その周りに四国霊場八十八カ所の石踏があり、そこを巡ります。
近くに樹齢500年と云われる榧(かや)の木もあり、豊かなみどりが広がる寺院です。
地蔵さんもあちこちにあり、カラフルで綺麗な頭巾、涎掛けをしています。
その奥に多宝塔・常圓堂があります。多宝塔の本尊は五智如来、常圓堂は阿弥陀如来です。
そして本堂です。本堂の扁額も同じ字体、基調で安養院と記されています。
閉まっておりましたので、住職にお願いして内部を見せて戴きました。
本堂に入ると、そこは空海の華美な世界が広がっています。本堂内陣は、本尊の紅頗梨色(ぐはりじき)阿弥陀如来坐像を中心に、煌びやかな天蓋に飾られ、周りは曼荼羅や仏像、そして五鈷杵を持った弘法大師像などが並びます。
また、密教系の五鈷杵(ごこしょ)」などの法具がならべられています。
本尊の紅頗梨色(ぐはりじき)阿弥陀如来坐像です。
宝冠をいただき、阿弥陀定印を結び孔雀坐に座る姿で、光背として、孔雀の羽が広がります。肉身部は、濃いあずき色をしているのですが、赤色に彩色されていたと思われ、宝冠などの飾りに透彫が見られます。
住職によりますと制作年代など不明で、江戸時代の火災の時に持ち出したと記載された古文書があり、それより以前であることは間違いないということです。江戸時代初期頃かそれ以前の作かと思います。また、天台宗系の仏像にも似たような孔雀に座る像が見受けられるという様なことを話されていました。
孔雀に座る姿を描いた仏画で、仁和寺を代表する仏画「孔雀明王像」があります。関係があるのでしょうか。
この紅頗梨色(ぐはりじき)阿弥陀仏を拝見しただけでも、ここに来た甲斐がありました。本当に素晴らしい仏像と空海ワールドに満足し、余韻にひたることが出来ました。
最後に御朱印を戴いて、寺院をあとにしました。ありがとうございます。
おわり