先日、博物館実習について記述しましたが、今回は、実習の前日に出かけた日本最古の神社、大神神社(おおみわじんじゃ)についてです。以前ブログに書きました「聖林寺十一面観音」と関係が深い神社で、いつか行きたいと思っていました。
京都からいつもは近鉄奈良線ですが、JRの奈良駅から桜井方面で三輪駅に降ります。この方面は纏向遺跡、箸墓古墳など古代の見所が多数あります。
駅から、三輪そうめん屋などが立ち並ぶ参道を過ぎて程なく、二の鳥居が見えます。
二の鳥居から参道を進むと、最初に鎮座するのが祓戸(はらえど)神社で、体と心を祓い清める祓戸の神様を祀っています。神社に参拝の時は先ずここにお参りをするようです。
祓戸神社の先、参道の左手に「夫婦岩」があります。二つの岩が仲良く寄り添い、縁結び・夫婦円満のご利益があると云われています。
そして拝殿です。三輪山をご神体とするために本殿がなく、拝殿から三ツ鳥居を通して三輪山を拝む原初の神まつりの姿を留めています。御祭神は、大物主大神(おおものぬしのかみ:記紀に登場します。)です。
三ツ鳥居は、神の山三輪山と拝殿を区切る場所に立って、本殿にかわるものとして神聖視されてきました。しかし、コロナ感染拡大防止の為、残念ながら拝観中止となっています。
拝殿の前に、ご神木があります。巳の神杉(みのかみすぎ)と云い、三輪の大物主大神の化身の白蛇が棲むことから名付けられたと云います。この神社だけでなく後から行く神社にもそうなのですが、蛇の好物の卵とお神酒が参拝者によってお供えされています。
道理でこの神社に来る途中の店々に、ゆで卵とお神酒(ワンカップ)のセットが売られていました。ヘビの好物だったのですね。
そして、この巳の神杉の根元にヘビならぬトカゲが棲みついているようです。根元の割れ目からチョロチョロ出たり入ったりしています。
わたしの家の庭に住んでいるトカゲと同じ種類で、ニホントカゲです。この種のトカゲは、日本の古代から生き延びているのは凄いことです。
そして、この大神神社には数多く摂社、末社があります。狭井(さい)神社も摂社のひとつで、垂仁天皇の御代に創建されたと伝わり、御祭神の荒魂(あらみたま)を祀る延喜式内社です。
また、狭井神社は、三輪山を水源とする湧き水の「薬井戸」がある社寺として有名です。この水は古くから「くすり水」として信仰され、万病に効く御神水といわれています。近くに「清浄の音」と云われるものがあり、澄みきった水音を響かせています。京都の寺院にもありますが、水琴窟の響きです。
狭井神社の近くに「三輪山登拝口」があります。ご神体に登拝が許されているただひとつの登山口です。しかし、ここも残念ながらコロナ禍で登拝は叶いませんでした。
登拝するときは、住所、氏名、電話番号を申し出て許可をとり、飲食、写真撮影などが禁止で厳格に守られています。標高は467mですが、いつか機会をみて登拝したいと思います。
九州の宗像の神様、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)を祀る市杵島姫神社があります。アマテラスとスサノオの神話の世界ですが、海の神、水の神であり、芸能をつかさどる弁天さんとしても親しまれています。
市杵島姫神社の近くに、三島由紀夫の記念碑があります。三島由紀夫は、昭和41年に大神神社を訪れており、三輪山にも登拝し感銘を受け、色紙に「清明」の揮毫を残しました。それを記念碑にしています。
少し高台のほうに大神神社の末社、久延彦神社 (くえひこじんじゃ)があります。御祭神の久延毘古命は、『古事記』にどこへも足を運ばなくても、世の中の事を全て知っている神様で、智恵がたいそう優れておられると記されています。受験・進学・就職等の成就をお守り下さる「知恵の神様」です。
そして、最も見たかったのが、大神神社の摂社の若宮社です。正式には、大直禰子(おおたたねこ)神社と云うようです。神仏習合の時代は、大神寺(おおみわでら)、後に大御輪寺(だいごりんじ)として、永らく若宮神と十一面観音像(聖林寺奉安。先日まで東博)があわせて祀られてきました。
本殿は、奈良時代の大神寺創建当初の部材が残っており、貴重な神宮寺の遺構として国の重要文化財に指定されています。
コロナ禍ではありましたが、念願の大神神社詣でが叶いました。今度来た時には三輪山へ登拝しようと思います。
さいごに御朱印です。また、御神縁深い「卯」のお守りの土鈴と「知恵の神様」のストラップも買い求めました。
おわり