新宿区北新宿 鎧(よろい)伝説、狛犬型庚申塔の「鎧神社」

 都心新宿区の寺社散策が続きます。今回は円照寺から北東に1分位の「鎧(よろい)神社」です。

鎧神社の正面の鳥居と社号標です。

 

参道に入ります。正面に社殿が見えます。

 

左手に手水舎です。迫力のある龍がいます。

 

参道を進みます。右手の先には神楽殿、左には神輿庫が並びます。

 

社殿へ

 拝殿です。昭和20年(1945)の東京大空襲によって旧社殿が焼失し、その後、昭和29年(1954)に拝殿が再建されます。

 

 拝殿前の阿吽の狛犬は、昭和11年(1936)に奉納されています。結構大型で正面を向いて置かれて、迫力があります。

 

拝殿正面です。社紋は左三つ巴、扁額は、鎧神社です。

 

御由緒

 鎧神社の創建は、約1100年前に遡ります。 醍醐天皇の時代(898~929)、薬師如来像がこの地に祀られ、円照寺が創建されました。 当時は、神仏習合の時代で、寺の鬼門鎮護のため鎧神社が、創建されたと伝えられています。

 また、創建以前から、伝説があります。日本武命が東国の平定に向かったとき、この地に甲冑六具を納めたというのです。

 鎧にまつわる話はこれだけではありません。 天慶三年(940)、平将門公が藤原秀郷に討たれると、その死を悼み、天暦元年(947)、将門公の鎧もまたこの地に埋めたと云われています。

 また、一説によると、将門公を討った後、重病となった藤原秀郷が、 将門公の神霊の崇りと恐れ、円照寺に参詣し、将門公の鎧を埋め、祠を建ててその霊を弔ったのです。すると、病気が忽ち治ったと言われ、それを聞いた人々は、その御神徳に恐れ畏み、村の鎮守の社としました。

 これらのことから、「鎧」の社名が起こったと伝えられています。伝説の社として、今も静かに人々の暮らしを護っています。(鎧神社公式サイトより抜粋)

ご祭神は、

日本武命(やまとたけるのみこと)、

大己貴命(おおなむちのみこと)、

少彦名命(すくなひこなのみこと)、

平将門公(たいらのまさかどこう)

の四柱です。

 

 本殿は昭和36年(1961)に再建されています。拝殿と本殿が別棟となり、渡り廊下で繋がる形です。

 

 拝殿の右前には比較的新しそうですが、立派な松があります。その右端に、「兜松之碑」と書かれた石碑があります。

伝説の将門の鎧は、拝殿前の松の下と伝えられているそうですが、この松でしょうか。

 

 拝殿を後にして、いつも狛犬を後ろから見るのですが、拝殿を背にした狛犬です。前から見ると怖いのですが、後ろは哀愁を帯びた姿です。

 

社殿の左奥から、裏参道の鳥居と赤い鳥居が見えます。

 

 もう一つの鳥居です。社殿の左手裏に出る参道に繋がります。

境内から。鳥居に平成8年の記述があります。

 

外から。正面と変わりなく社号標もあります。

 

 阿吽の狛犬で、どちらも子供を撫でています。破損があり修復跡が残りますが、とても表情が柔らかいです。

 

その左手にある境内社です。朱色の鳥居をくぐり参拝します。

 

稲荷神社、三峯神社、子の権現の三神が合祀されています。

 

合祀殿の前のお狐さんです。

 

珍しい狛犬庚申塔

 そして、正面の鳥居の左手に、境内社があります。「天神社」の鳥居です。西新宿にある成子天神社の元の社です。

 

狛犬庚申塔は、ここに祀られています。両端にいます。

 

 狛犬庚申塔です。素朴な一対の狛犬を用いたものです。側面に、享保六年(1721)の記念銘が記されています。

向かって右側が阿形像、左側が吽形像で、当時の姿をそのまま残しています。狛犬型の庚申塔は、大変珍しく民俗学的にも貴重なものです。

狛犬庚申塔の説明掲示板の抜粋)

狛犬庚申塔の説明掲示板です。

 

天神社の奥に石碑が並んでいます。

 

 この鎧神社にもイチョウなどの大木が目に留まります。

 

御朱印

 御朱印を頂くため拝殿の右手にある社務所へ行きます。

御朱印は、正面の社務所で頂きました。

 

所感 

 鎧神社は、広々としゆっくり見ることが出来ました。日本武命と平将門の鎧が眠っているという二つの伝説がある鎧神社、本当に良い神社でした。

日本武命の鎧は兎も角、平将門の鎧については、信憑性があると感じます。

 

 また、天保年間に発行された『江戸名所図会』に当時の様子が描かれています。

 図上に「鎧明神社」として描かれて、兜枩も中央に描かれています。(枩は松です。)

図下は、、当時の別当寺の「圓照寺」として描かれています。本当に江戸時代までの神仏習合は、結びつきが深いことが伺えます。

 

 そして、「狛犬庚申塔」です。今まで、申は、干支で猿に例えられるので三猿の彫った庚申塔を見ることが多かったのですが、狛犬の形をした庚申塔を初めて見ました。全国的に他にあるのでしょうか。貴重な珍しいものを見ることが出来たと思います。有難う御座いました。

                  おわり