東京都杉並区の古刹 神田川沿いの「龍光寺」

 東京都杉並区の寺社散策が続きます。今回は、真言宗室生寺派の「龍光寺」です。

 

 前回の「永福稲荷神社」から北東方向へ、京王井の頭線を越え「神田川」沿いに歩いて10分位の所にあります。神田川は、区内の散策で中野区から新宿区、文京区、千代田区とよく出会います。神田川の源流は、井の頭公園の池です。

 

石柱門から山門へ

 山門の前に、龍光寺の石柱門が建っています。右側に山号の「泉涌山」、左側に寺号の「龍光寺」の文字が刻まれています。

 

石柱門を入ると直ぐ左には石庭があります。

 

巨大な石燈籠があり、「大師灯籠」と呼ばれているようです。

 

石柱門の直ぐ右の二階の建屋が、大師堂です。

 

参道を進むと石段があり、山門まで少し距離があります。

 

石段を登ると山門です。

 

龍光寺の縁起

山門の脇に、由緒書きがありました。

 

 龍光寺は泉涌山医王院と号する「真言宗室生寺派」の寺院です。開創は、明治10年の書上げによると承安2年(1172)とされ、開山は寺伝によれば「龍観和尚」と伝えられています。
 山号の「泉涌」は、和泉の地名の由来ともなった貴船神社の泉に、院号の「医王」は、本尊の薬師如来に因むものといわれています。

また寺号の「龍光」は、当寺のすぐ下を流れる神田川の源、井之頭池にすんでいた巨大な竜が、川を下ってきて、この付近で雷鳴をとどろかせ、光を放って昇天したことに由来すると伝えられています。
 江戸時代、当寺の本尊は難病に御利益がある薬師如来として信仰あつく、護摩の煙が絶えなかったといわれています。

 

本堂

山門をくぐり本堂に行きます。

 

本堂です。

 

本堂の扁額は「瑠璃殿」です。

薬師如来の正式名は、「薬師瑠璃光如来」と云うので「瑠璃殿」と名付けられます。

 

本堂の前に「当山本尊薬師如来」と刻んだ石碑が建てられています。

 

 本堂の左手前には観音堂があります。如意輪観音を祀ってあるようです。

 

鐘楼

 鐘楼です。戦時中の供出があった梵鐘に寛保2年(1742)銘がありましたが、現在の梵鐘は、昭和29年に造られたものです。

 

四国八十八箇所和泉霊場

 龍光寺の境内の西側に、「新四国八十八箇所和泉霊場」があります。四国八十八ヶ所霊場巡りを模して作られたものです。

 

しかし、開放されるのは土、日曜日のみのようで閉まっていました。

 

中を隙間から見ると、こんな感じです。

 

石仏群 供養塔と庚申塔

 新四国八十八箇所和泉霊場の北側には、多数の石仏があります。供養塔、庚申塔のようで刻まれた年代から江戸時代のものと思われます。

 

この中で目をひくのが地蔵菩薩坐像です。顔の表情が石造とは思えないリアルさです。

 

 また、庚申塔もあります。笠位牌型の庚申塔で、元禄14年の文字が刻まれて、下に三猿が彫られています。

 

 もう一つ駒型の庚申塔があります。お地蔵さんの後ろです。四臂の金剛像が、邪鬼を踏みつけており、その下に三猿が彫られています。これは、珍しいです。

 

如意輪観音の石象もあります。

 

御朱印

 最後に御朱印です。庫裡に伺います。若い僧侶が丁寧な対応をして頂きました。

庫裡玄関。


庫裡の内部。

 

 

おわりに

 杉並区という都心にありながら、予想以上に大きい寺で驚きました。御本尊の「薬師如来立像」は、平安時代末期(12世紀前半)に造立されたもののようで、拝観したいものです。

 境内は、清掃も行き届き気持ちよく参拝することが出来ました。庫裡の中も綺麗にランの花が飾られ整頓されており、若い僧侶は、この上なく丁寧な対応をして頂きました。わたしが去るまで深くお辞儀をしていたのが印象的でした。
                     以上