ムサシノキスゲの府中市浅間山公園

 府中市浅間山(せんげんやま)公園で、ムサシノキスゲが咲き始め、散策する人たちの目を楽しませているとのニュースがありました。

ムサシノキスゲは、ニッコウキスゲの変種とされ、浅間山(標高約80m)だけに自生しているという珍しい野草ということで、早速見に行ってきました。

 ムサシノキスゲは、かつては多摩丘陵に広く生育していましたが、現在は、「東京都レッドリスト(東京都の保護上重要な野生生物種)2020年版」で、北多摩地区の「絶滅危惧II類」に選定されています。

 浅間山は、戦時中一時陸軍に接収され、火薬庫代わりに使われていました。戦後に払い下げられ、1970年浅間山公園として開園、山全体が都立浅間山公園となっています。

浅間山公園の廻りは、学校、住宅街、多磨霊園などがあり、出入り口が10か所以上あります。

 わたしは、新小金井街道沿いから入りましたが、そこにあった浅間山公園の看板と案内図です。

看板

案内図

 案内図に書かれている文言は、

「多摩の台地が古多摩川で削られ、小高い丘として残ったもので、堂山(標高80m)、中山、前山とあわせて3つの頂をもつ山です。コナラなどの雑木林でおおわれ、ムサシノキスゲヤマユリ等の野草や多くの野鳥・昆虫等が見られます。現在は貴重な自然景観として、地域の皆さんのご協力により、保全されています。」

とのことです。

 浅間山の頂上にある「浅間神社」を目指して北側を歩きます。

頂上と云っても約80mで、府中市では唯一の山です。

歩き出すと、直ぐにムサシノキスゲとキンラン(金蘭)がぽつぽつと咲いています。

ムサシノキスゲ ニッコウキスゲは橙色のイメージですが、ムサシノキスゲは黄色い感じがします。

キンラン 

 キンランは、山や丘陵の林の中に生える地上性のランの1種です。樹木や菌類と共生しているため、持ち帰っても生育できないという、不思議な野草です。

 そして、途中に以外にも水の神を祀る「水手洗(おみたらし)神社」がありました。僅かですが湧水が沸いているようです。御祭神は、水の神、彌都波能売神(みずはのめのかみ)です。

水手洗神社

おみたらしの石碑 「浅間神」このところより出現すと傳(つた)う

小さな祠が、奥にあります。

 道々に、ムサシノキスゲとキンランが群生とまではいきませんが、目立って咲いています。キンランの方が多く咲いています。

ムサシノキスゲ

                 キンラン

ムサシノキスゲとキンラン  二つ近くに咲いていることが多いです。

 そうこうするうちに、浅間神社のある標高79.6mの浅間山(堂山)につきます。

浅間山(堂山)山頂

浅間神社と祠

浅間神社の看板

 御祭神は、木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)です。せんだって、田園調布の浅間神社にお参りしましたが、このような近くにも浅間神社があるとは知りませんでした。

 ここから下って、近くに多磨霊園に通じる道があるのですが、「きすげ橋」がかかっています。

きすげ橋

 戻って、中山、前山に行こうと思いますが、なかなか一筆書きのようにいきませんが、たいした距離ではありません。

大体こんな山道を歩いて前山(標高72.8m)に着きます。人見四郎の墓跡があります。

山道

前山の山頂

人見四郎の墓跡

 碑には、「ここは鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した武士人見四郎の墓跡と伝えられる 平成二年三月 府中市教育委員会」と記されています。

 人見四郎氏の詳細は分かりませんが、近くに人見街道、人見稲荷神社があり、一帯の地主で鎌倉時代武蔵国の武将と思われます。

そして、南西側の斜面を行きますが、途中に「関東の富士見百景」の看板があり、富士山を望めます。

富士見百景の看板

富士山を望む全体景観

富士山を望む拡大版

 そして、下って新小金井街道の出入り口に近いところに、「キスゲフェスティバル」が開催されていました。コロナ禍で中止されていて3年ぶりだそうです。ボランティアの方々が山野草、野鳥、昆虫などの写真展を開いて説明されていました。

山野草の保存にも尽力されているようで有難いことです。ご苦労様です。

キスゲフェスティバル様子

昆虫標本

写真展

 初めてこの公園を訪れましたが、近くの隣の市に、このような貴重な山野草浅間神社、おみたらし神社があるとは知りませんでした。参拝させていただき感謝です。

 府中市は、縄文時代古墳時代の遺跡など発掘されていますから、この二つの神社も古代から祀られていたと思われます。今後も、東京都、府中市、ボランティアの方々で大切にされることと思います。

                        おわり