昨年の暮れに、中野区の寺社の散策をしましたが、未だ記述していない散策の紹介です。西武新宿線の「沼袋駅」近辺、真言宗東寺派の「百観音明治寺」があります。
百観音明治寺の縁起
明治5年(1912)に明治天皇の平癒を祈るため、榮照法尼によって観音菩薩石像の建立されたのが始まりです。しかし明治天皇は、観音開眼を待たずに崩御されます。
その後、一大観音霊場を築きたいと呼びかけたところ、多くの賛同者が現われ、大正5年(1916)に百観音が整いました。翌年には本堂も完成します。そして、関東大震災、大戦を経て観音像の建立は、その後も続き、現在では180体あまりの観音像が境内に建立されています。
山門から境内へ
沼袋駅から北の方向に、数分歩くと山門が見えます。寺院には見えない、近代的な新しい山門です。
右側の門に「百観音明治寺」の寺号標があります。
境内に入ると右側が、「百観音公園」になっています。
中野区からの看板があり、この公園は明治寺の御好意によりお借りして開設している旨の「お願い」があります。
公園の中に像みたいな石造りの滑り台があります。
元々は鐘楼があったのですが、鐘が太平洋戦争の際に供出され、その台座を利用して滑り台としたようです。
本堂
境内の中央に、大きなイチョウの木があり、その向こうに本堂があります。
本堂正面です。扁額ではなく看板があり、近代的でシンプルな感じの本堂です。
本堂の内陣です。
御本尊は、「如意輪観音」です。
この寺院の如意輪観音は、六臂の像で右足を立膝にして、左足の裏に右足をのせる「輪王座」にて座しています。
本堂の入口に本尊「如意輪観音」と「聖観音」の御真言(マントラ)が書かれています。
観音霊場
本堂参拝の後に、本堂の東側にある「観音霊場」が広がっていますので、ここも参拝します。自由に入って良いようです。
この「観音霊場」は、近畿の西国三十三観音、関東一円の坂東三十三観音、そして秩父の三十四観音、合わせて百の観音様の「写し霊場」です。180体あまりの観音像が建立されているようです。
観音霊場の西側に永代供養墓の多宝塔があります。
玉井稲荷大明神
境内の北側にもう一つ門がありますが、その手前に「玉井稲荷大明神」というお稲荷様があります。
この寺院の開基、榮照法尼様が寺の鎮守として生地である埼玉県熊谷の玉井より勧請した稲荷大明神です。
祠の前のお狐様ですが、少し不気味な表情です。
最後に御朱印です。本堂左の寺務所より頂きました。
御朱印について、という説明書きも頂きました。
おわりに
西国三十三所だけでも、京都府・滋賀県・大阪府・奈良県・兵庫県・和歌山県・岐阜県に観音霊場が点在しています。この「写し霊場」は、一か所で「百観音巡り」できることは素晴らしいことだと思いました。
境内に「百観音明治寺行事のご案内」の看板があります。
観音経読誦会(かんのんぎょうどくじゅかい)、写経、座禅の会を定期的に行っているようです。
この百観音明治寺は、境内の一部を区の公園に貸し出したり、このような会を行ったり、地元に密着した活動をしていると感じました。
以上